センチメンタル・スウィングス
過去にも見たことがある・・・恐怖の中に、憐れみが混じった顔は、もう二度と見たくない。
まして、楽しんで生きてる和泉さんにまでそんな顔されたら、私は・・・。

生きてていいのか、疑問に思えてしまうから。

「俺はそんな顔したつもりないんだが・・・分かったよ。だから泣くな」
「泣いてな・・・」
「涙出てないけど、今のおまえはギャン泣きしてる迷子みたいな顔してるぞ」

・・・この人、あったかい。
ほんの微かに香るタバコのにおいや、この温かさは、紛れもなく和泉さんそのものだ。

和泉さんに抱きしめられた私は、気づけば彼の上着に頬をギュッと押しつけていた。

「だからおまえは、個々でする仕事は抜群にできるのに、チームプレーが苦手なんだな」
「・・・は?ちょっと、離して!」ともがいたのに、和泉さんは「もう少し」と言って、また私を自分に押しつけた。
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