嘘つきrainと弱虫五月
広い待合室を抜けて、エレベーターに乗る。
先生が18階のボタンを押す。
唐突に先生が口を開いた。
今まで沈黙だった
「雨音ちゃん。
膝の調子はどうだい?」
唐突だったけど、聞かれると思った。
…まあ、先生なら聞くのが普通であろうが。
「…はい。
よくなって…きています。」
ははっと、先生が笑った。
「嘘はよくないね。
さっきから右足引きずるようにしていただろう?
本当は、歩くのもきついんじゃないかな。」
「…はい。
痛いです。
もうバスケは…」
「ん?」
痛みで声が小さくなった…。
最後は聞き取れてないみたいだった。
「いえ。なんでもないです。」