喫茶の謎解き意地悪紳士2


「はい。だから、探偵さんと詩音に相談したんです。……でも私、許せなくて。」

葵が膝の上で拳を握りしめた。

「探偵さんの捜査なんて待っていられなくて、舞のところに行ったんです。そこで舞と口論になって……。それで興奮しちゃって、私!!舞を突き飛ばしたんです。そしたら、舞が動かなく……」

葵の瞳から涙がこぼれた。

事件のときを鮮明に思い出したんだろう。

苦しそうに胸元を抑える。

「でも私、殺してません!!本当です!」

「まあ落ち着けって。別にあんたを疑ってる訳じゃねえから」

葵と向き合う形で座っている阿部が、安心させようと優しく笑った。

それでも、葵の表情は硬いまま。

「あくまでも任意ですから。」

叶亜が落ち着いた口調で言うと、葵は唇を噛み締めた。

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