喫茶の謎解き意地悪紳士2


「だから急いでるんだよ!あいつより、もっと先にこのダイイング・メッセージに気づいてたら……」

髪をくしゃくしゃにかきむしる叶亜。

よほど悔しいのか、何度も拳を自分の膝に叩きつける。

阿部と綾華、叶亜は玄関に向かって走り出す。

「でも、詩音ちゃんはよく分かったな。この暗号は、点字を勉強してなきゃ分からねえのに」

「あいつは舞さんに点字を教えてもらったって言ってた。だから、最初からあのキーボードに付いている血の配置に違和感を抱いてた。……そして、エレベーターにのったときに、ボタンの隣にある点字で気が付いたんですよ!この暗号に!!」

ドアを開けると、豪雨と化した雨が叶亜たちに襲いかかった。

目が開けられないほどに、雨粒が顔にささる。

「……おい!俺だ!今どこにいる!?」

叶亜が詩音に電話をしていた。

もどかしそうに、唇を噛み締めている。

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