喫茶の謎解き意地悪紳士2
綾華が「救急車を要請しました」と阿部の元へやって来る。
「……よかった」
これで全てが終わったんだ。
安堵からか、詩音の瞳から涙が流れる。
ガクンと膝に力がなくなり、汚れた地面に座り込む。
「……大丈夫だったか?」
車椅子で叶亜が詩音の前に現れる。
その姿を見たとたん、震えが止まらなくなった。
「……怖かったろ。」
「別に、怖くなかった……です」
素直に言える訳ないじゃないか。
泣き顔を見られまいとうつむいていると、叶亜が詩音の髪に手を置いた。
温かくて……大きな手。
隠しきれなくて、詩音は叶亜にしがみついた。