喫茶の謎解き意地悪紳士2
ゆっくりと深呼吸して、詩音は言葉をひとつひとつ確認するよう言った。
「落ち着いて。葵。何があったの?ゆっくりでいいから、話してみて」
『……じ、実はね』
「うん……」
葵の息づかいが耳元で聞こえる。
相当、混乱しているようだ。
詩音は次の言葉を待った。
だが、その次の言葉は詩音にとって信じがたいものだった。
『舞を殺しちゃったかも』
夢だったら、イタズラだったら。
どれだけ良かっただろう。
「殺したかもって……どういうこと?」
『昨日……10万円のこと聞こうと思って、舞の家に行ったの。そしたら、口論になっちゃって……。突き飛ばしたら、棚に頭ぶつけちゃってさ、舞が動かなくなったの。私、パニックになって……、そのまま気を失って……目が覚めたら、舞が頭から血を流して死んでたの……』
言葉が出なかった。
だけど、いつまでもこのままじゃいけない。
「分かった。待ってて。すぐにそっちに向かうから!」
詩音はそれだけ言うと電話をきり、身支度を始めた。