視線の先にはいつも君
「拓人!」って。
いつもならそう言うのに。
「あれ、反撃しないわけ?」
なんか変に意識しちゃってまともに顔が見れない。
「穂花ー?おーいおーい」
「……っ、わ、私!他のクラスの子に教科書借りに行かなきゃだめなんだった…!」
別に教科書なんて忘れてないのに、咄嗟についた嘘。
「ごめん!あとでね!」
拓人には悪いとは思ったけど、本当に無理だった。
顔が、見れないんだ。
そのまま私は、逃げるように教室を出て行った。