視線の先にはいつも君
「わかったよ。原田君のことは諦める。その代わり、その子と上手くいってね?」
そんな女の子の声が聞こえて、立ち去る足音が遠くに行く。
「…んな簡単にいかねーから困ってるんだっつーの」
拓人の、そんなポツリとした呟きが静かに響いた。
…私、本当ズルいなぁ。
告白現場を立ち聞きしての最初の感想が、これ。
拓人に、無理させてたかも。
告白をなかったことにして、今まで通りにしてもらって。
拓人のこんな声、初めて聞いた。