らぶ・すいっち
釣られた魚はどん底に?
「ちょっと京香! 話は聞いたわよ。どうして合田くんを振っちゃったのよ」
いろんなことがあった昨日。私は悩みごとや苦しさから逃げるため、合田くんと別れたあとすぐに床に就いた。
といっても、考え込んでしまいなかなか寝付くことはできなかったけど。
やっと朝方になって少し睡眠をとることができたようだが、やっぱりまだ眠い。
日曜日の今日、午後から仕事だとわかっていたからゆっくりと起きようと思っていたのに、朝一番にお母さんから攻撃されるとは。
こんなことなら、さっさと起きて早めに外に出かけてしまえばよかった。
いやしかし、家の電話に出なければ携帯電話にもかけてきただろうから、結末は一緒だろう。
電話越しでギャンギャン叫ぶお母さんの甲高い声が、清々しい朝を一気にダークにさせていく。
「ってことは。合田くんに私のアパートの住所を教えたのも意図的ってわけ?」
「合田くんのお母さんに聞かれたから答えただけよ。知らぬ仲でもないし、私は合田くんを昔から信頼していたしね」
「あのね、お母さん」
昔のよしみというやつで、お母さんは気軽に合田くんのお母さん経由で住所を教えたのだろう。
そのあたりはわかったが、元鞘に戻ればいいのにという感情が見え隠れしているように感じるのは私だけだろうか。
大きくため息をつく私に、お母さんも負けず劣らず大きなため息をついた。
「だって、京香。貴女、最近誰ともお付き合いしていないんでしょ? そろそろ結婚を考えてもいい年なのにねぇ」
「煩いよ、お母さん」
確かにそろそろ結婚を考えてもいい年だとは思うが、合田くんとどうこうなるつもりは全くない。
それに今はまだ、結婚なんて考えられない。その前に恋愛がしたいと思っている私の気持ちはどうなる。
と、言っても恋愛してくれる相手がいないのだけど。