らぶ・すいっち
ダメダメな私
今日のレッスンは最悪だった。
ボッーとしているから包丁で手を切ってしまうし、フライパンを持たせれば焦げているのにも気がつかない。
「京香ちゃんは、今日は後片付けのみ!」
と、おばさまたちに言われてしまい、「スミマセン」と謝罪を入れたあと、しょんぼりとお皿や調理器具の洗い上げばかりをしていた。
これでは以前の私に逆戻りだ。順平先生が個人レッスンをしてまで私に料理の基礎を教えてくれたのに、それもこれもすべて台無しだ。
(もっと気合い入れなきゃ!)
そう思うのだけど、いつもいるはずの順平先生がいないとやる気も出てこないし、それよりなによりさきほどのおば樣たちの話 ——— 順平先生のお見合いうんぬん ———のことを思い出してしまい気分が落ち込んでしまう。
さきほどから、おば様たちの噂話がなかなか脳裏から消えてはくれない。
思い出すたびに、胸の奥がツクンと痛む。
どうしよう、苦しい。切なくて苦しくて悲しい。胸が締め付けられるこの感じ、今までの人生で何度も経験してきたものだ。いや、今まで以上に胸が痛い。