らぶ・すいっち
「今度の火曜日なのよ。他の生徒さんだと平日がお休みの方って少なくて」
「確かに……OLさんだと難しいですよね」
なんとなく英子先生の言わんとしていることがわかってきた。
私はデパートに出店している化粧品会社のBAだ。
土日休みの企業とは違い、平日に休日が来るようにシフトを組んでいる。
平日の夜の授業を受けているのは、会社帰りのOLさんが多いと聞いている。
彼女たちに、平日の昼間に料理講習会にでてほしいと言っても難しいだろう。
その点、私は平日休みが多い。
英子先生もその辺りはよく知っているはずだ。
入学説明をしてくれたのは英子先生自らだったし、そのときに火曜日の午前か、土曜日の午前がいいと希望を出したことを覚えていたのだろう。
私の読み通り、英子先生は拝むように手を合わせてきた。
「須藤さん、火曜日お休みが多いのでしょう?」
「えっと……」
「もし用事がなければ行って頂けると助かるわ。私を助けると思って。お願い」
英子先生にここまで言われてしまっては、首を縦に振るしかない。
先生が私に差し出してきた用紙で日時を確認したが、その日は休みのシフトになっているはず。出席できるはずだ。
「わかりました。英子先生」
「ああ、よかったわ。今回、誰も出席できなかったらどうしようかと悩んでいたのよ」
胸を撫で下ろす英子先生に、私は恐る恐る質問することにした。