らぶ・すいっち




 
(こ、こ、この体勢は……!!!)


 あの日。スイッチが入ったかと聞いてきた時と奇しくも同じ体勢だ。

 そして、あのとき順平先生は……。
 いろいろ想像してしまい、ドキドキしすぎて口から心臓が飛び出してきそうだ。

 目を大きく見開いていると、順平先生はより私に近づいてきた。

 キスされてしまうのかもしれない。一瞬そう考えて身構えたが、それはないはずだ。

 だって順平先生は、私が先生を振ったと思っているはず。だからこそお見合いなんてしたのだから。
 ギュッと目を瞑ると、頭上で順平先生の優しい声が聞こえた。


「英子先生を迎えに行く必要はありませんよ」
「え?」


 ゆっくりと目を開き、順平先生を見上げた。

 先ほどまでは無表情で怖かった順平先生だが、なぜかとても瞳が優しかった。
 だが、そう思ったのは一瞬だけだったようだ。


「今日の講演会に英子先生は行かないからです」
「な、なんですって!!」


 声を荒げる私を見て、順平先生は口元に拳を当て、笑いを堪えている様子だ。


「最初から私と須藤さん。二人きりの予定でしたよ」
「なっ!」



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