らぶ・すいっち
「……失礼します」
私がヤキモキしている間に、どうやら電話は終わったようだ。
あれこれやりとりがあったようだが最後に電話を切るときの先生の顔は、それはとても怖かった。
その怖い表情のまま、順平先生は私にスマホを差し出してきた。
私は慌ててそれを受け取ると、先生は意味ありげにほほ笑んだ。
「須藤さん、お腹はいっぱいになりましたか?」
「え? ……はい」
順平先生が急接近してきたり、心臓に悪いセリフばかり口にしていたせいで緊張していた。とはいえ、食べ物に罪はない。とても美味しい料理の数々はしっかりと頂いた。
お腹はいっぱいである。もちろんデザートの分は空いている状態だけど。
コクコクと頷くと、順平先生はフッと悪魔のような妖艶な笑い声を零した。
「デザートをいただいたら、帰りましょう。調べたいことができました。君にも協力をお願いしたい」
「調べたいこと……ですか?」
ええ、そうです、と頷く順平先生は顔に笑顔を貼り付けているようにしか見えない。
無理してほほ笑んでいる樣が、より怖さを強調させているということを本人はきっと知らないだろう。
しかし、突然調べたいことがあるなどと言われれば気になるというもの。
合田くんと話していて思いついたということなら、フリーペーパーの記事の件についてだろうか。
何だろうと順平先生に聞いたのだが、笑顔で躱されて教えてはくれない。