らぶ・すいっち
「とにかくついてきてくださいね」
という順平先生に促され、私たちはデザートをいただいたあと雪見亭を出た。
ハンドルを握る順平先生は、安全運転そのものだった。しかし、なぜか話かけることを躊躇してしまうほど異様な雰囲気を醸し出している
車を走らせること三十分後。着いた先は美馬クッキングスクールだった。
火曜日のこの時間は料理教室はないはずで、やっぱり外から見ても明かりのひとつも付いていない。
まさか今から個人レッスンをするというのだろうか。いやでも、それは調べたいことではないから違うか。
あれこれ考えて首を捻っている私の手を、順平先生は握ってきた。
「さぁ、こちらです」
「えっと、順平先生?」
訳も分からず順平先生に手を引かれ連れて行かれた先は、美馬クッキングスクールの裏手にある民家。
美馬先生と英子先生が住んでいる本宅だった。