らぶ・すいっち
「順平先生がバラしたようなものね、ふふふ」
「じゅ、順平先生……ですか?」
それはあり得ないだろう。私は不思議に思って首を傾げた。
一生懸命気持ちは抑えていたつもりではいた。料理教室に来たからには、しっかりと授業を受けたかったというのもある。
なるべく順平先生とは距離を置き、とにかく料理のことだけを考えようと努力はした。
だが、千里眼のおば樣たちにはきっとバレてしまい、からかわれるだろうと思っていたのだ。それなのに原因が私ではなく、順平先生だなんて……。
まさかの結果に私も、そして順平先生も驚いている。
今まで静観していた順平先生だったが、困惑した表情を浮かべた。
「私が原因ですか?」
「ええ、そうよ。今週の火曜日、料理講演会に二人だけで出かけたことは、私たちも知っていた。英子先生も混じえて作戦は練ったものね」
「……はい」
順平先生としては、私と二人きりで講演会に行きたかった。
しかし、年に数回行われている講演会、おば樣たちも交代で出席しているので今月行われることは周知のこと。
いつもの流れに任せておくと、おば樣たちが行きたいと言いだすのが手に取るようにわかっていた順平先生は、英子先生と土曜メンバーのおば樣たちに協力してほしいとお願いしたらしい。
そうしなければ、私と二人きりでという計画は白紙に戻ってしまうからだ。
「苦渋の策でした」
そういって順平先生は笑っていたことを思い出す。
私が警戒しないように呼び出すためには、料理講演会は絶好のチャンスだったと。
順平先生は私に熱いキスをしながら教えてくれた。
その辺りは私も順平先生に種明かしをしてもらっていたのでわかっている。
私も順平先生と一緒にコクコクと頷いた。
「だって順平先生。あなた、すっかり恋する乙女ならぬ、恋する青年になっているんだもの」
「っ!」
声をなくした順平先生におば樣たちは容赦ない。