らぶ・すいっち
番外編 願い事、ひとつ
「すっごく恥ずかしいけど、言わせてください!」
ある晴れた日の朝。突然彼女は吠えた。
レースのカーテンからこぼれ落ちる光の粒に、私は目を細める。
そして起きてすぐに騒ぎ出した須藤さんをギュッと抱きしめた。
ギャッ! と色気のない声を上げたが、それさえも可愛いと思ってしまう。
ああ、私はどこまで須藤さんに墜ちていけばいいのだろうか。
私がどれほど君のことが好きだと言っても、腕の中の須藤さんは分かっているだろうか、わかっていないな、たぶん。
柔らかい裸身に触れながら、その真っ白な肌に口づけをする。
きつく吸えば、所有の証が。うん、いいですね。たっぷりつけてしまいましょうか。
チュチュッと音を立てて項の辺りに唇を寄せようとしたのだが、それは須藤さんに阻止されてしまった。
「どうして邪魔するんですか」
「ど、どうしてって。ダメです」
「ダメってどうして?」
「うーーー! どうしてもです! 朝っぱらからすることじゃありません」
「じゃあ朝以外ならいいんですか?」
「あーもう、そういう意味じゃないです。子供みたいですよ、順平先生」
年下の彼女は「そうじゃなくて!」と枕をバンバンと叩いた。
「私は順平先生に言いたいことがあるんです!」
「言いたいことですか? もっと頻繁に会いたいとか? 私もそうしたいのは山々なのですが、お互い仕事ですれ違ってばかりですから。ああ、そうだ。それなら一緒に住むというのはどうでしょう? 良かったら美馬家に来ますか? お祖母さんも大歓迎だと言ってましたよ」
「な、な、な!! なんですか、それ。それもなんか私の承諾を得る前に進んでいません? 英子先生にまでそんなこと言っただなんて」
恥ずかしい、と顔を隠す須藤さんに、「じゃあ、決定ということで。一緒に住みましょう」と促すと、彼女は顔を出して抗議した。