らぶ・すいっち
後日談 何より最強なのは? 1
「これは一体……何の集まりでしょうか?」
「あら、順平先生。見て分からないの?」
「分からないですねぇ……」
今日の仕事も終わり、クタクタになって家に帰ってみればお祖母さんは不在。
時計を確認するとすでに夜八時。いつものお祖母さんならそろそろお風呂に入って就寝の準備をする頃だ。
それなのにまだ家に帰宅していないとは、一体どうしたのだろうか。
明日も朝から料理教室があり、お祖母さんの受け持ちのクラスもあったはず。
振り替えなどがあるのなら留守なのも納得がいくが、明日もいつも通りのスケジュールだと思う。
お友達と旅行に出かけるなどということも聞いていないし、心配になってきた。
一度携帯に電話を入れてみようと玄関に荷物を置くと、そこには一枚のメモ書きが置いてある。
「帰ってきたらいつもの喫茶店に向かえに来てください、か」
確かにご近所にお祖母さんがよく行く喫茶店はある。しかし、あそこにコーヒーを飲みに行くのは休日の午前中ばかり。
こんな夜に出かけることなんてないのに、珍しいこともあったものだ。
疲れて帰ってきたが、お祖母さんをひとりこんな夜道で帰らせるわけにはいかない。
荷物を玄関先にすべて置いたあと、再び車のキーを持ち家を飛び出した。
向かう先は、いつもお祖母さんがお邪魔している喫茶店。
店の横にある駐車場に車を停め、カランコロンというドアベルの音を聞きながら扉を開いて中に入ると……そこは異様な雰囲気がたちこめていた。
まずはお祖母さんがいるのかどうかを確認する。よし、真ん中あたりでまったりとコーヒーを飲んでいる。
しかし、指摘するべき点は別のことだ。そこには美馬クッキングスクールに通う、土曜午前チームの顔ぶれがずらりと揃っていたのだ。