らぶ・すいっち
「あ!」
「ふふふ、いるでしょ。順平先生の彼女よ!」
癖がある土曜メンバーたちに可愛がられ、恋愛フラグに全く気がつかない料理オンチの須藤京香。
確かに、彼女が最強なのかもしれない。特に、私にとって、は。
「忠告ありがとうございます。肝に銘じます」
それがいいわよ、と口々に言う土曜メンバーに釘を刺すことも忘れない。
「しかしですが、これ以上は手助け無用ですよ」
ニッコリとマダムたちにほほ笑むと、彼女たちは大きくため息をついた。
「手助けっていうか……私たちは京香ちゃんの味方ですからね。最終的には彼女に手を差し伸べるから。それだけは覚悟なさっていてね、順平先生」
「……」
「そうそう。順平先生が余所見していたら、しっぺ返しに合いますからね」
「肝に銘じます……」
私の彼女である須藤京香、そして彼女を取り巻く土曜メンバーのマダムたち。
束になってかかられたらひとたまりもないだろう。
やっぱり最強は美馬クッキングスクール、土曜午前チームだ。
私はこっそりため息をつきながら、くせ者たちに愛される彼女の攻略に考えを巡らせた。