らぶ・すいっち
後日談 何より最強なのは? 4
「じゃあね、須藤さん。またいらしてね」
「ありがとうございました。ごちそうになった挙げ句、お土産までいただいてしまって」
京の手には、紙袋。その中にはいくつもタッパーが入っている。
お祖母さんが張り切って作りすぎた料理の数々をタッパーに詰め、京に持たせたのだ。
これは冷凍すればいいから、あとこれは明日のお昼のお弁当にでも、などのメモをお祖母さんが書いて京に持たせたのだが、彼女はそれはもう感激しっぱなしだった。
「すごく勉強になりました。ありがとうございました」
礼儀正しくキレイにお辞儀をする様は、仕事中の彼女のようだった。
そんな凛とした背筋を伸ばした京もやっぱりいい。
思わず緩まる頬に、お祖母さんが気がついたらしい。
「順平」
「はい?」
「須藤さんをきちんと送り届けてちょうだいね」
「もちろんですよ」
ニッコリと笑ってお祖母さんに返事をしたのだが、私の顔がどうも信憑性に欠けていたらしい。
お祖母さんは笑顔で応対はしているが、目が笑っていない。
あんまり須藤さんを苛めちゃだめですよ、そう語っているのがヒシヒシと伝わる。
私は肩を竦めて、とりあえず了承の返事をしておく。
が、いまだにお祖母さんの目が怖い。きっと私の胸の内などお見通しなのだろう。
とはいえ、こればかりは約束はできない。
私はこのあと、京にあれこれと尋問する予定でいる。となれば、彼女を困らせることは必須だ。
それは約束できません、といった様子で笑顔で返すと、お祖母さんは大きく息を吐き出した。