らぶ・すいっち
「やっぱりあとで京のアパートに行ってみましょうか」
京の言うとおり、疲れてゴロゴロしているだけなら安心できるし、元気がでるように何か美味しい料理を作って食べさせてもいい。
そう考え、京には連絡を取らずアパートに突撃した私を待っていたのは、熱で真っ赤に顔を赤らめている京だったのだ。
慌ててベッドに寝かせ、体温を測ってみたら見事に熱は上がっている。
大きくため息をついたあと、私は彼女を見下ろし睨んだ。
「京! どうして嘘をついたんですか」
「……」
無言を貫く京に、私は大きくため息をついた。
「わかっていますよ、京ちゃんのことだから、私に心配かけまいとしただけだってことは。私の仕事の邪魔になりたくない、それが京ちゃんの口癖ですしね」
「すみません」
しょんぼりと反省した面持ちの彼女を見て、私は再びため息をついたあとベッドのサイドに腰を下ろした。
「京ちゃん、病院には行きましたか?」
「はい。さっき帰ってきたばかりで……。お薬はもらってきました」
「診断は?」
「風邪ですって」
「じゃあ、あとはゆっくり休むだけですね」
はい、と素直に返事をする京の頭をゆっくりと撫でる。こうして弱った京もとても愛らしいが、やっぱり早くとびきりの笑顔が見たい。
困ったように眉を下げる京に、フッと優しく笑った。