らぶ・すいっち
「なんだか良い感じじゃない? 京香ちゃんと順平先生」
「……は?」
急に何を言い出したのだ。このおば様は!
呆気にとられている私になど目をくれず、他のおば様たちは大いに盛り上がっている。
「そうそう。どうしたのかしらね、ここのところ」
「ほんわかピンク色の空気っていうのかしらね?」
「私もそう思っていたわ。京香ちゃんは相変わらずなのに、順平先生はなんだか角がとれたというか」
「バカねぇ、違うわよ。順平先生の京香ちゃんイジリは、愛情の裏返しなのよ。小学生の初恋みたいな?」
キャー! と声にならない叫び声をあげている。その様子は、女子高生が恋バナでもして騒いでいるそれと変わらない気がする。
「いつからかしらね〜。先週もその前も、順平先生の表情が甘ったるかった気がするのよね」
「うんうん。いつからかしら〜。ねぇ、京香ちゃん。何か心当たりはあるの?」
おば様たちだけで盛り上がっていた話が、ついに私にもお鉢が回ってきてしまった。
心当たりがあるのかと聞かれれば、一つだけ思い当たることがある。
だけど、それをおば様たちに話してしまうと、それでまた騒がれてしまいそうだ。
私は曖昧に笑って、おば様たちを躱した。
「えっと……特にないですけど」
「そうかしら? 本人にはわからないってこともあるしね。でも、順平先生が以前より優しくなったってことは自覚しているんでしょ?」
ズイズイと私に顔を近づけるおば様たち、とっても怖いです。
とにかく知らぬ存ぜぬを通した方が身のためだ。私は慌てて首を横に振った。