らぶ・すいっち
「ご歓談の最中にスミマセン。須藤さんをお借りしたいのですけど。いいですか?」
「あら。なになに? 交際でも申し込むつもり?」
何故かニヤリと笑い出すおば様たちに、順平先生は慣れたもので涼しい顔だ。
「いえ。この前、提出してもらった書類のことで、二つ、三つ聞いておきたいことがありまして」
淡々と話す順平先生を見て、色めきだっていたおば様たちが一様にガックリと肩を落とした。
「なんだ〜。ロマンスの予感!? って思ったのに」
「ご希望に添えられなくてスミマセン。では、須藤さん……事務所まで来てもらえますか?」
「えっと、はい。……じゃあ、皆さん。また来週お願いします」
残っていた土曜コースのメンバーに挨拶をしたあと、私は順平先生の後を追った。
背が高くスラリとしているのに、引き締まった身体にはバランス良く筋肉がついている。相変わらず順平先生はカッコいい。
百貨店に来たときはジーンズとチャコールカラのカーディガン、インナーは白のシャツといったカジュアルのものだったが、あのときもステキだった。
カッコいい人は、どんな格好をしていても似合ってしまうだなんて。世の中不公平だ。