らぶ・すいっち
「順平先生、それは自業自得ってやつね」
「京香ちゃんの手助けしちゃったら、今までみたいに可愛がれなくなっちゃうわよ?」
思わず私は先生の顔を見つめてしまった。一瞬、順平先生と視線が絡み合う。
私たちが思ったことは、たぶん一緒だ。
(もしかして、居残り授業のことがおば様たちにバレている!?)
居残りレッスンは、おば様たちに見つからないよう細心の注意を払って行っていたはずだ。
土曜メンバーと一緒に一度は外に出て、皆が車に乗って出て行くのを確認し、そのあと教室に再び戻って居残りレッスンを受けていた。
誰にもみつかっていないと思っていたのに、どうやらそれは違っているのかもしれない。
順平先生は、一瞬だけ頬の辺りをピクピクと動かしたが、そのあとは相変わらず冷静だ。
しかし、私はあまりのことに挙動不審である。これではおば様たちが言っていることを肯定しているのと同じ。
どうにかうまく繕って誤魔化そうと考えるが、人生経験豊富で一枚も二枚も上手のおば様たちに私が勝てる訳がない。
こうなったら順平先生にすべてをお願いするしかない。
なんとかおば様たちを煙に巻き、この難所を乗り越えなければ。
チラチラと順平先生に視線を送ったが、その視線に気がついたのか。
順平先生はニッと口角を上げた。なんだか嫌な予感がする。