らぶ・すいっち
「折角取材されるのに、いつもと同じじゃ味気ないじゃない」
「そうそう。その格好もいいけど、いつもと違う格好をしてくるんじゃないかなぁって期待していたのよ?」
「だってこの取材のメインは講師である順平先生でしょ? おしゃれに決めてこなくちゃ」
声を揃えて順平先生にダメだしをするおば様たちを見て、順平先生は困ったように笑った。
「いえ、取材の主役は生徒の皆さんですよ?」
「何言っているのよ、順平先生。普通料理教室の講師の写真がババンって載るのが普通でしょ?」
おば様たちの言うとおりだと思う。
料理教室の顔である順平先生が紙面を飾らなくてどうする。
私もおば様たちと同様そうだそうだと頷いていると、順平先生は苦笑交じりで頭を掻いた。
「今回の取材は、皆さんが主役ですよ? 教室風景を撮っていただく予定で、私の写真は掲載しないということが条件なんですから」
「え!?」
誰しもが思わず叫んだ。そんなことが許されるのか、と土曜メンバーの顔には書いてある。私もそれには同意見だ。
納得しない私たちに、順平先生は肩を竦めた。
「講師の顔は英子先生で掲載してもらう予定ですよ」
「ええ!? どうして? 順平先生は有名人だから、写真が掲載されただけで受講希望者が詰めかけると思うのに」
「だから、ですよ」
「ええ!?」
戸惑う土曜メンバーに、順平先生は教壇に上がりながら淡々と説明した。