らぶ・すいっち
黒歴史
「よぉ、京香。久しぶり。何年ぶりだろうな」
「合田くん!」
久しぶりなんてもんじゃない。高校を卒業して以来だから、かれこれ9年ぶりだろうか。
すっかり大人びた合田くんだが、昔の面影は残っていてすぐにわかった。
それは私にも言えることなのだろう。
9年というブランクがあるにもかかわらず、合田くんは私だと確信できたのだから。
あの頃、彼は学校のスター的存在でとても人気があった。
今も ——— 特に女性から ——— 人気があるであろう容姿をしている。
そんな合田くんと私は、高校生の頃付き合っていた。
嘘のような本当の話だ。
学校で人気者の合田くんに対し、特別目立つような容姿でもなければ頭が良かったわけでもなく、スポーツもさほど得意ではなかった私。
そういう意味では、釣り合いは全く取れていなかった。だからこそ、やっかみなどを嫌と言うほど感じた高校時代。
個々の容姿などでは釣り合わなかった私たちだったが、なぜか気があった。
そこがまた不思議なことなんだけど……。
高校を卒業するまでの一年間。私たちは彼氏彼女関係を築いていた。
ただ、大学はお互い県外。距離もかなり離れることになり、話し合いの末別れることになったのだ。
まだまだ幼かった私たちだったけど、きちんと段階を踏んで別れることができたのは良かったんじゃないかと思う。
蟠りが今もないのが、その証拠と言えるだろう。