らぶ・すいっち




「ふふふ、久しぶりの再会で恋が再燃なんてことになったりして!」

「京香ちゃんに縁談を持ちかけようと思っていたんだけど、必要ないかしら?」

 キャーと黄色い声を上げるおば様たち。それもなんだかわざと大きな声で騒いでいる様な気がする。

 いつものおば様たちなら、実習時間に騒ぐことはない。
 なにか雑談をするときでも、先生に見つからないようにコソコソと耳打ちするぐらいだ。

 それなのに今日はどうしたのだろう。
 取材が入っているということで、テンションが高めになっているのだろうか。

 彼女らを呆気に見ていた私と合田くんだったが、彼は何を思ったのか、楽しげに笑い出した。

 
「京香に縁談の話が来ているのですか?」

「ええ、そうよ。京香ちゃん可愛いのに、彼氏がいないなんていうんですもの。ここはお節介おばさんたちが世話をしなくちゃねって皆で話しているのよ」

「そうそう。だけど、恋が到来したのなら……私たちは、静かにしておいたほうがいいのかしら?」

 声は明るく朗らかだ。しかし、何故だろう。どこか恐ろしい雰囲気を感じるのは私だけだろうか。

 おば様VS合田くんのやりとり、なんだか怖い気がする。
 そろそろ止めようとしたのだが、合田くんの言葉に遮られてしまった。

「なんだよ、京香。縁談の話なんて来ているのか」

「いや、え……そういうわけじゃないと思うけど」

 確かに何度かおば様たちに打診されたことは確かだ。しかし、具体的に話が進んでいるわけじゃない。

 首を横に振る私を見て、合田くんはドキッとするような魅惑な表情で私に近づき、耳元で囁いた。


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