らぶ・すいっち
男の本音を読み取る技術
「よしよし。良い子で来たな」
「よく言うわよね、合田くん。私のこと脅したくせに」
「脅し? そんなつもりはねぇけどな」
「嘘つき。どの口がそんなこと言っているのかしらね?」
「この口だな」
軽快に笑ったあと、合田くんは助手席の扉を開いた。そしてさりげなく私をエスコートする。
「どうぞ、お嬢様」
「お嬢様なら後部座席じゃないの?」
「おいおい、そんな寂しいこと言うなよ。久しぶりの再会だぞ? ちょっとは喜べよ」
「……」
何も言わず無表情の私に、「無言なんてひでぇな」と豪快に笑ったあと、私の背中をポンと叩いた。
「さぁ、乗った乗った。メシ食いに行くぞ」
「はいはい」
「返事は一回」
「はい」
「よろしい」
ニカッと笑ったあと、合田くんは運転席へと回る。それを見た私は、助手席に乗り込んだ。
相変わらずの合田くんといった感じだな、と私はシートベルトを付けながら苦笑する。
お祭り男よろしく、高校のときも場を盛り上げるのが上手だったことを思い出す。