らぶ・すいっち
「本当……相変わらず合田くんは合田くんだよね」
ポツリと呟いた言葉に、合田くんはクツクツと意味ありげに笑った。
「そういう京香も、相変わらずだよな」
「え?」
なんでもない、と言って答えをうやむやにしたあと、合田くんは車のエンジンをかけた。
「さて、俺のオススメの店でもいいか?」
「あ、うん」
「了解!」
ウィンカーを右に出し、車はゆっくりと幹線道路へと向かっていく。
週末の土曜。道路はやっぱり混んでいるようで、なかなか目的地に到着は出来そうにもない。
「やっぱり土曜日。混んでいるよな」
「そうじゃなくても夕飯時だからね……って、どこへ行くの?」
「ん? このまま京香を連れて逃避行?」
無言のまま運転手を睨み付けると、彼は肩を竦めた。