らぶ・すいっち
「俺はそんなに待てないぞ?」
「そこはいつまでも待っているからっていうとこじゃない?」
テンプレの答えは合田くんの口から出たためしがない。
この場でも、合田くんの“らしさ”は健在のようだ。
呆れてため息を零す私に、合田くんはククッと声を出して笑った。
「俺は結構モテるんだぞ? 出会いを逃したくない」
「それなら私のことなんて気にしないで、新しい彼女を探しにいけばいいじゃない」
「……あのな。言っておくが結構モテる俺が、昔の女にもう一度復縁を迫るなんて恥ずかしいマネするのは何故だと思う?」
「え?」
どういうことだろうと首を捻っていると、やっと合田くんは私を解放してくれた。
これ幸いと逃げだそうとする私の背に向かって、合田くんは真剣な声色で言った。
「お前のことがずっと忘れられなかった。そう言ったら俺の女にもう一度なってくれるか?」
「っ!」
驚いて振り向くと、そこにはまじめすぎるほど真剣な表情の合田くんがいて、その視線は情熱に溢れかえっている。
私はその視線に捕らわれて、身動きをとることができなかった。