青い記憶

そうして夏休みに入った。



安定の女3人で海に行ったり買い物に行ったり、晴くんは部活があるからあまり会えないけどオフの日や、部活が早く終わる日は時間を作って会ってくれた。



1度クラスで遅めの文化祭の打ち上げがあって、そこで森本くんと久しぶりに顔を合わせた。だけど、普通に明るく元気そうだったし、やっぱり美優とはいつもと同じただの喧嘩だったのかな。








こうして、去年よりすっごく充実した夏休みを過ごし2学期に入って数日後のこと。



「清川、ちょっといい?」



昼休み、クラスの子たちと弁当を食べようと立ち上がった時、森本くんに呼ばれた。



森本くんとは1学期の途中で席替えをしてからもう近くの席になることはなかったから、話す場面も少なくなっていた。最近教室で話をしたことといえば、夏休み前の「美優と別れそうだ」って言われたあの時。



「なに?どうしたの?」



森本くんにつれられて、教室の1番後ろの端の前後の席に腰を下ろす。



「夏休み中、美優からなんか聞いた?」



なんかって何だろう。でも森本くんのことだよね?特に何も聞いてないけど…


私が首を傾げると、『やっぱり』みたいな顔をする森本くん。


そして森本くんは少し考えこみ、おもむろに口を開いた。



「俺ら、別れた」



今回は『また冗談を〜』なんて、森本くんの真剣な表情を見てたら、とても言える空気なんかじゃない。



「…本当に?」



「あいつ本当に誰にも言ってないんだな」



そう言って深くため息をつく森本くん。



「いつ?なんで?夏休み、けっこう頻繁に美優と会ってたけど、ずっと元気だったよ?」



そう、私たち3人は、週一くらいのペースで会ってた。特別に遊びに行くとかばっかりじゃなくて、地元でご飯食べたり、一緒に課題しながら喋ったり。


だけどずっと、本当にずっと、いつもと変わらない美優だった。

< 103 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop