青い記憶

美優と森本くんが別れて2週間後。



2人が別れたことは、私と琴音と晴くんと原口くんの4人しか知らないはずなのに、もう学年中に知れわたっていた。



あの2人は学年だけじゃなく、まだ入学して間もない1年生の間でも有名なほどの、なかなかのビックカップルだった。


だから、一緒に帰る姿やお昼にお弁当を食べる姿もてっきり無くなり、2人がお互いのクラスを行き交うことも当然無くなったから、きっと自然と広まったんだろう。







「森本さん…」



放課後の掃除当番で運悪くジャンケンで負け、ゴミ捨てに行かされた私。するとゴミステーションの奥に、森本くんと女の子の影を見つけた。



ゴミステーションの奥って言ったら狭くて汚なそうなイメージだけど、うちの学校のゴミステーションは校舎裏だけど駐車場に面していてけっこう広い。


直接告白するにはもってこいの場所だ。



「あの…」



女の子は見たことがない子だから、たぶん1年生。



2人の姿を見つけて、影に隠れたから遠くて声はよく聞こえないけど、女の子の俯いている顔がほんのり赤いからきっと告白の真っ最中だ。森本くんは私に背を向けている状態なので顔は見えない。



暫く様子を伺いながら見ていると、森本くんが何か言った後、女の子がぺこりと頭を下げてこちらへ向かってくる。



私は怪しまれないように、いかにも今来たかのようにゴミ袋を持って女の子とすれ違った。



女の子の顔は真っ赤だった。



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