青い記憶
「清川、さっきの見てた?」
私に気づいた森本くんが頭を掻きながらこっちに来る。
「ごめん、ちょっとだけ。でも話はよく聞こえなかった」
「告白された。1年の知らない子」
ゴミを捨てるためにコンテナの蓋を開けながら聞くと、森本くんは答えながら私の持ってた大きいゴミ袋をひょいとコンテナの中に捨ててくれた。
「ありがとう。やっぱり、だよね。さっきすれ違ったとき女の子顔真っ赤だった」
「あぁ、今は恋愛とか興味ないからって振った。ちょっと冷たく言い過ぎたかも」
森本くんいつもみたいに軽い感じで話してるけど、顔はあまり笑ってない。
「けっこう可愛い子じゃなかった?まぁ、この年で年下はまだ興味ないか」
ちょっと冗談ぽく言ってみたけど、森本くんは少し笑うだけ。
「年下じゃなくても今は考えられない。別れてから喋ったことないやつとか、さっきみたいに年下とか、いろんな女が寄ってくるんだよ。けど全く関わりないやつとか、どこで俺のこと好きになったのって感じ」
すごい、噂で美優と別れてから森本くん、いろんな女の子から言い寄られてるって言って聞いたけど、本当だったんだ。
さすがモテる男は違うね〜。
なんて思わず言ってしまいそうになったけど、もちろんそんな空気ではないから慌てて口を閉じる。
「女の子ってアイドルとか俳優とか好きになるじゃん。みんな森本くんに対してもそんな感じなんじゃない?かっこいい〜!みたいな。あ、でもかっこいいとかだけじゃなくて、本当にみんな森本くんのことが好きなんだと思うよ。私にはそういうのよくわかんないけど」
私にはそういう感覚があまりないから、上手く説明できない。
変なこと言っちゃったかなと思って森本くんの顔を見上げたけど、「ふ〜ん」と言って軽く流された。
「まぁ、だからと言って友達としてしか見れない女に告られても引くけど」
そう言って笑う森本くんは、とっても冷たくて、怖さすら感じた。
でも、私も森本くんの隣は美優しか想像できないよ…
さすがに口にはしなかったけど。