青い記憶
下足ロッカーまで2人で歩いてきたところで「じゃあ、俺帰るわ」と足を止める森本くん。
そこでやっと気がついたけど、ゴミステーションからは、森本くん靴に履き替えてたし、わざわざ下足ロッカーまで来なくても帰れたんだ。
「ごめん、手伝わせたみたいになっちゃったね。ありがとう」
私が言うと「いいよ」と言って笑う森本くん。さっきの冷たさはもう無かった。
「今日、多野と帰んの?」
「そう、教室で待ってくれてる」
今日は晴くんの部活がないから、一緒に帰ることになっている。
「そっか、ちゃんと仲良くやれよ」
そう言って私の頭を軽くポンとする森本くん。
森本くんがこんなことをするなんて驚いたけど、すこし寂しげな笑顔を見ていると胸が痛んだ。
もう一度、美優と森本くんが2人で楽しそうに笑う光景を見たいと、心から思った。
「おい、亜美。遅えよ」
そこに、晴くんが私の鞄を持ってたおりてきた。
森本くんが私の頭から手を離した瞬間だったから、ギリギリ見られなかったかな。
別に何もないし、森本くんもそんなつもりで頭を触ったわけじゃないけど、やっぱり見られて変な誤解が生まれるのは嫌だし。
「じゃあな」
森本くんは私と晴くんに手を振って1人で帰って行った。
そんな背中がとても寂しく感じる。
「あーみ」
森本くんの背中を見送っていると晴くんに頭をポンポンとされた。
見上げると困ったような笑顔の晴くん。
心配させちゃったかな。
笑顔で「帰ろう」と言うと、晴くんが頷いて2人で歩き出す。
私たちは
変わらない2人でいられるかな…