青い記憶
「よ、久しぶり」
ベンチに座って待っていると横から圭暉の声がした。そんなに疲れている様子ではなかったけど、あの最後に一緒に帰った日のよそよそしさは、まだなんとなく残っていた。
「久しぶり、部活忙しいんだね」
私が笑顔で言うと、まあなって一言軽く返すだけ。無言で私の横に座る。
「どうしたの?なんか話?」
圭暉は暫く考えてる様子で何も答えなかった。もう一度口を開こうとすると圭暉は明るく「別に会いたくなっただけ」と笑った。
その優しい笑顔にホッとした私は、迷っていたクリスマスのことを言った。
「ねえ、圭暉クリスマスの日空いてる?この前の映画断っちゃったし、クリスマスは2人でどっか行かない?」
圭暉は少し困った顔をして、また暫く何か考えてる様子だったけど「いいよ」とそれだけ言った。またよそよそしかった。
少し不安になったけどさっきの「会いたくなっただけ」と言った圭暉の笑顔を信じようと思った。
圭暉はあの時、私のことを最低な女だって思ったのかな。見損なったのかな。