青い記憶

最近流行ってるイルミネーションを見に行く予定で、それまではいつものショッピングモールで時間を潰すことにした。





「ごめん、ちょっとトイレ行っていい?」



「いいよ!俺、ここで待ってるから」





そう言ってトイレに入って、メイクを直して出てくると、晴くんが誰かと話していた。




…女の子?




晴くんは背を向けているから分からないけど、女の子はすごく笑顔で楽しそうに話している。




茶髪でお洒落で、背は私より高そう。メイクも濃すぎず、雰囲気からして、すごく大人っぽい。




一段と大人っぽく、肩を壁にもたれかけて立っている晴くんに、スッと立ちお洒落で笑顔が素敵な女の子。不覚にも似合ってるなんて思ってしまった自分が情けなくなった。





話はまだ終わらなさそうだし、仕方なく2人のもとに歩み寄り、晴くんの肩を少しつついた。




「あ、亜美、おかえり」




私の方を振り返ってそう言うと、優しく微笑み、もたれかかっていた体制をたてなおす晴くん。




「あー、デート中だったんだよね。話し込みすぎて忘れてた」




そう言って私をチラリと見る女の子。



近くでみると、遠くでみたときよりすごく美人。いい匂いもするし、すごく綺麗でそのオーラに圧倒される。




「彼女さん、亜美ちゃん?付き合ってどのくらい?」



落ち着いた喋り方で、余裕ささえ感じられる。


たまに私に向けられる視線は、どこか冷たくて、少し怖い。




「今月で1年半だよな」




そう言って向けられた晴くんの優しい笑顔にホッとする。



私が黙って頷くと




「ふ〜ん…けっこう長いんだね…」




と私の全身を上から下、下から上へと舐め回すように見てくる。



威圧感しかないその仕草に、怖くて動くことすらできず固まる私。




「あ、せっかくのクリスマスデート邪魔してごめんね。そろそろ行くね」




パッと視線を晴くんに変えると、さっきまでとは違い綺麗な可愛い笑顔で話す女の子。




「じゃあね、晴之」




最後はまるで晴くんしかここにいないかのように、私には1ミリたりとも目を向けず去って行く。
< 129 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop