青い記憶
"晴之"って…
だいぶ親しい仲っぽいよね。話してた時の笑顔といい、名前の呼び捨てといい…
「あの子、誰?すごい綺麗だね」
「地元の仲良いグループがあるんだけどそのうちの1人だよ。えーと…英玲奈」
英玲奈(エレナ)…
聞き覚えのある名前。
「英玲奈ちゃんってもしかして…」
「あー…亜美、覚えてる?元カノ…」
やっぱり。
私がバイト先で雄ちゃんと再会した一件の後、ノリでお互いの過去の話になったんだ。
名前は言わないで話そうって決めて話してたんだけど、晴くんが思わず名前を言ってしまった。
それが、"英玲奈"
あんなに綺麗な人と晴くんが付き合ってただったなんて。
過去に嫉妬したって仕方ないのはわかってるし、今晴くんと付き合ってるのは自分なわけで、晴くんは今私のことを好きでいてくれてるわけで、気にすることなんてないんだけど…
晴くんが前に言ってた。
『チャラいやつもいるけど、俺は本気で心から好きになった人としか付き合えない』
だから、あの英玲奈ちゃんも、一度は昔、晴くんが心から好きになった人。
あんなに綺麗で可愛い人を心から好きになったなんて、あの2人が昔は両思いだったなんて…
きっと美男美女でお似合いの2人だなんて言われてたんだろうな。
やっぱり少し胸が苦しくなる。
「…あーみ?」
心配そうに晴くんが私の手を握り顔を覗き込んでくる。
「あ、ごめん。ボーっとしてた」
私が『ボーっとしてた』って言ったら、いつもは『またかよ、バーカ』って笑って返してくる晴くんだけど、今回は違った。
「妬いた?」
なんて少しおどけたように聞いてくる晴くん。