青い記憶

その笑顔がまた可愛くて。




…ずるいよ。




私の図星をそんな可愛い笑顔でついてこないでほしい。





『妬いた?』




なんて、妬くに決まってるじゃん。わかって言ってるところがムカつく。けど恨めない。




私が黙って目を逸らすと、晴くんは笑ってニット帽がずれないように頭を優しくポンポンと叩く。





「俺が今好きなのは亜美だけだから、心配すんな。大丈夫だよ。亜美にしかときめかないって」




「わかってる…」





『わかってる』なんて言ったけど、賑わってるから誰にも聞こえてないだろうけど、こんな人の多い所で普通にそんなことを言ってくるから、今にも心臓が飛び出しそうなほどドキドキしてる。




私は赤くなってるだろう顔を晴くんに見られないように俯いたけど、きっと晴くんにはバレてる。





「ん。じゃあ行こう」





満足そうに笑う晴くん。




手を握り直して歩き出した。







英玲奈ちゃんの態度に胸騒ぎがしたけど、晴くんがいるから大丈夫。




そう何度も言い聞かせた。





晴くんの温もりを逃さないようにギュっと握る手に力を入れる。




そんな私を見て、また満足そうに優しく笑った晴くん。






これからもずっと変わらず、私の側にいてください。




そう願いを込めた。






私の願いは届かなかったのでしょうか…
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