青い記憶
「また啓介がお世話になります」
なんて深々と頭を下げてくる美優。
「いえいえ、こちらこそ」
私もそう返して、お互い顔を見合わせて笑った。
今年は新クラスへの移動前にバスケ部の集まりがあったから、晴くんとは話せずにそのまま新クラスに入った。
「あ、清川」
「根岸くん!また同じ?」
「みたいだな。あんまり喋ると晴之が怖いから、それなりによろしく」
「え、気にしないでいいよ。よろしく」
まじで言ってんのか冗談なのか…。でも私が根岸くんと喋りすぎると、晴くんがやたら妬くのは否めないからあながち間違ってもないけど…。
そんなこともふざけて言ってくる根岸くんだけど、やっぱり良い人。
最初はただの爽やか青年で親しみ易い印象はあまりなかったけど、去年の1年で冗談も言うしふざけるし、いたって普通の男子高校生だってわかった。
今思ったらあたりまえのことだけど。
でも、超優しくて良い人、少し子どもっぽいところもある、頼れる、顔も爽やかイケメン、なんてモテる要素しか持ってないから根岸くんは相当モテる。
私だって根岸くんに、かっこいいな…て思うことは度々ある。本当に惚れたりはしないけど。
晴くんが、あいつは危険だって警戒する理由が分かる。
去年、晴くんが私のクラスに来たときに、たまたま私と根岸くんが喋ってたりするとすぐに毎回引き離しにきた。他の男子とだったらそんなこと絶対にしないのに。
根岸くんに用事があって来たときでも、私を呼んで「蓮に惚れた?」なんて冗談混じりだけど結構まじっぽく聞いてくる。
そんな晴くんが可愛くて1度だけ「きゅんとしたかも」なんてからかったら、不機嫌になるし根岸くんには逆ギレするしで大変だったから2度としないと心に誓った。