青い記憶
私はさっきから何も喋れなくなった。公園に着いた時から。悪い予感と悪い雰囲気と幸菜との悪い思い出。圭暉の顔も見れなくて、ずっと俯いていた。
いつものようにベンチにならんで腰を下ろす。すぐに口を開いたのは圭暉だった。きっともうあの日から決意してたんだね。
「お前さ、」
初めて圭暉に“お前”と呼ばれた。ショックだった。圭暉は女の子のことを“お前” なんて呼ぶような人じゃない。
「逢沢と喧嘩してんだろ?」
知ってたんだ。まあ、女友達はみんな知ってたし噂が回って誰かから聞いたのかな。黙って頷く。
「それで逢沢裏切ったの?俺とも、俺のことたいして好きじゃなかったけど、俺と逢沢が昔付き合ってたって知って付き合ったんだろ?なんでそんなことすんだよ」
ショックと驚きで、何も言い返せなかった。冷たい風が私の頬をさす。こんな状況なのに私は冷静だった。
きっと幸菜が圭暉に言ったんだ。嘘ばっかりでっちあげて。きっと幸菜はやっぱりまだ圭暉のことが好きだから。