青い記憶
「でもさ、私的には、森本くんが亜美のこと好きだった説はかなり有力だと思ってるんだけど。好きだった、っていうか、現在進行形かな」
いやいや、ゆめかまで何を言ってるの。
「あ、今、何言ってんの?って顔したでしょ。これでも私の勘はなかなか鋭いんだから侮れないよ」
「だって本当にありえないもん。美優と森本くんのラブラブさ知ってるでしょ?」
「亜美って鈍感だもん。多野くんと付き合う前だって、多野くんが亜美のことずっと好きだったって気づいてなかったんでしょ? 私からみたら、あの時期の森本くんと亜美はだーいぶいい感じだったよ」
そう言ってニヤニヤ笑うゆめか。
私と森本くんは確かに他と比べたらだいぶ仲がいい方だけど、いい感じとか、恋愛感情とか、私たちに限っては絶対にない。
「もう、ゆめか、それ以上変なこと言ったら本当に怒るよ」
「ごめんごめん、亜美には多野くんしか見えてないもんね!これからもお幸せに〜」
そうからかうゆめかの背中を叩きながら、私たちは体育館に向かった。
噂って本当に怖いもんだなと改めて痛感した。
こんなしょうもない噂、晴くんに言ったら、妬くどころか笑い飛ばすだろうな…