青い記憶
始業式もショートホームルームも終えて、晴くんの教室に向かう。
今日は珍しく部活がオフらしくて久しぶりに一緒に帰れる。しかも半日授業だからお昼も一緒に食べる予定。
久しぶりの放課後デートに胸が踊る。
晴くんのクラスはまだホームルームが終わってないみたい。
「亜美ー!」
晴くんの教室の前で待っていると向こうから私を呼ぶ声。
見ると、美優と森本くんがヒラヒラと手を振りながらこっちにやってくる。
「亜美ちゃんおデートですか?」
「そうでございます。そちらもおデートですか?」
「そうでございます。ま、お互いバイトだから駅まで一緒に帰るだけだけどね〜」
そう言って嬉しそうに笑う美優に、同じように笑う森本くん。
この2人の間には、どんなに仲がいい人でも入るすきなんてない。
2人を見てると私もつられて同じようににやけてしまう。
「あ、清川、忘れてた」
森本くんがそう言ってペタンコの鞄から課題のワークを取り出してきた。
「え、なに、亜美に課題やらせるの?」
「うん。清川は仏様だからな」
「まじで啓介図々しすぎるよ。ごめんね?亜美。嫌だったら本当に断ってくれていいから」
「はあ〜?今さら無理だよ。お礼に食堂で奢るって条件で許可貰ったんだから。じゃ、よろしく清川」
そう言って、森本くんは課題のワークで私の頭をペチンと軽く一叩き。
美優の前でも平気でこんなことができるのは、美優に何も後ろめたいことがない証拠。信頼している証拠。やっぱりあの噂の信憑性は0だ。