青い記憶

数日後、噂で雄ちゃんに彼女ができたと知った。相手は奈帆ちゃんだった。


私はその日、帰って泣き崩れた。雄ちゃんと話さなくなってから、初めて泣いた。初めて大きな後悔をした。


あの手の温もりも、あの優しい笑顔も、あーちゃんと呼ぶ声も、コンビニで雄ちゃんの隣に座るのも、全部私のものじゃなくなった。


雄ちゃんと出会ってからのこと、雄ちゃんのことが好きだと気付き始めたころ、雄ちゃんも私のことが好きなんだと気づいたころ、全部涙と一緒に流してしまいたかった。


次の日は泣き疲れて目もパンパンだったから学校も塾も休んだ。


私はいつでも馬鹿だった。

本当に大切なものをいつも自分で手放す。


もう恋なんてしたくないと初めて思った。

もう誰のことも好きにならないでおこうと心に誓った。


今年も寒いだけのクリスマスが過ぎ、年が明けた。





1月からは受験勉強に専念するようになって、塾には通い続けてたけど、雄ちゃんへの想いはだんだん薄れていった。

薄れていったんじゃなくて、考えないようにしてただけかもしれない。

だけど雄ちゃんのことを少しでも思い出せば、苦しくて抜け出せなくなるから。

私は夢中で勉強した。




こうして私は無事に第一志望の高校に合格し、晴れて高校生となった。
合格したら塾はやめると入った当時から決めていたから、合格発表の後すぐに塾はやめた。

雄ちゃんとは目指してた高校は違うから、これで完璧にさよならだった。

直接は言えなかったけど。





私は恋を捨てて

新しい道へ一歩を踏み出した。


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