青い記憶
昼休みになっても多野くんの話で持ちきりだった。
「亜美羨ましい〜私もあんなことされた〜い」
美優はさっきからそればっかり。琴音も横で頷いてる。
「美優も琴音も森本くんとか原口くんにされるでしょ、あのくらい。大したことじゃないよ」
そう大したことじゃない。雄ちゃんも関係ない。なるべく思い出したくなくて、自分に言い聞かせるように2人に言った。
「いやいやいやいや、あの漫画みたいなシチュエーションだからいいんじゃん!あそこから恋が始まるんだよ」
「え、まって」
1番興奮してた美優が突然停止する。
「どうしたの?」
「あの時多野くんさ、『ずっとボーっとしてるからだよ』て言ったよね?『ずっと』ってさ、ずっと亜美のこと見てたってこと?!」
いや、確かに言ったけどそれはないでしょ。多野くんと私全くっていうほど関わりないし。ちゃんと喋ったのもあれが初めてだし。
「え!絶対そうじゃん!多野くん亜美のこと好きなんだよ!」
琴音まで暴走しだす。追いつけなくて横で苦笑いするだけ。
「やば〜い、またキュンキュンしてきた〜。2人が付き合ったら私すっごい嬉しいよ。超お似合いじゃん!」
「どうしてそこまで話が飛ぶのかな〜。付き合うとか無い無い!もうこの話は終わり!」
2人の暴走がこれ以上激しくなる前に、とりあえず無理矢理にでも話を終わらせないと。自分の恋愛話は苦手だ。