青い記憶

それから半月。近づく文化祭に学校中が祭り気分で、ここ最近は毎日放課後遅くまで残っている。


美優には琴音にした話はしていない。これも美優を信頼してないとか嫌いとかじゃないけど、まだ話す気にはなれない。


「おい!またボーっとしてたらボール当たんぞ〜」


放課後の文化祭準備。突然多野くんに頭を小突かれた。


「ボーっとなんかしてないし!」


本当はしてたんだけど。

琴音に中学のことを打ち明けてから、いろいろ思い出して考えてしまう。後悔とかじゃないけど、少しやることがなくなったらそっちに頭が回ってしまう。


「ほらまた!そんなボーっとして自分の腕にペンキ塗んなよ」


そう言って私の横に座り青のペンキが着いた刷毛を近づけてくる多野くん。


「無理無理無理!ちょっと!つけたら私もつけるからね!」


私も黄色のペンキで対抗するけど、小さい筆だから断然多野くんの方が有利。


「亜美!」


「美優、なに?」


美優に呼ばれて立ち上がった瞬間、思わず筆を振り上げてしまった。


「うわっ」


嫌な予感がして声をしたほうを見ると、多野くんの腕に黄色ペンキがべったり。


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