青い記憶

「清川、まじごめんな?別に悪いやつじゃないんだけど、ああいう絡みが本当にしつこいんだよあいつ。嫌だったよな、まじごめん」


さっきのおどけた態度と違い、真剣に謝ってくれる多野くんに胸が疼く。それを振り払うように笑顔を作る。


「いやいや、全然!!多野くん悪くないし謝らないで!そんな多野くんに真剣に謝られたらどうしたらいいかわかんない」


少しおどけて言ってみたけど、それでも申し訳なさそうに何度も「ごめんな」と謝ってくれる。

多野くん、いい人すぎるよ。 私優しい人に弱いからやばいかも。


それに、これ以上謝られるのもこっちが申し訳なくなるし、話を変える。


「でもさ!さっきの連れ去ってくれた人いい人だったね!」


私が言うと突然黙る多野くん。


「…多野くん?」


「あー、いや、惚れちゃった?」


なんて言って、またおどけて笑うから、ほら、また胸が疼く。


「そんなわけないじゃん!」


そして、また笑ってその感覚を自分から誤魔化す私。

< 43 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop