青い記憶
「だよな〜!よかった」
…え?…よかった?
その言葉に今までとは違う、もっともっと切ないほど胸がギュッとなる。
固まる私。横で無邪気に笑う多野くん。
いつもどうしてそんなに無邪気に笑うの。どうしてそんなに優しい笑顔をしてるの。いつもは小学生の男の子みたいに絡んでくるのに、どうして不意に優しくなるの。
いろんな感情でいっぱいになった。いろんな思いが頭の中を駆け巡った。
__きっと私、多野くんに…
「おい、清川?またボーッとしてただろ?ボール当たんぞ〜」
そう言って私の頭を優しく小突き、歩く速さを少し速める多野くん。
「ボールなんかないし!もう当たんないよ!」
笑って多野くんの後を追う。
もうこの時、笑って自分の気持ちは誤魔化せなかったよ。
私、多野くんが好きだ。__