青い記憶
教室に戻る途中、多野くんと森本くんに遭遇した。
「啓介!文化祭のことなんだけどさ!」
美優は早速森本くんを連れて教室に入っていく。
琴音もスッと教室に戻り、さりげなく私と多野くんを2人にしてくるけど…
さっき美優から聞いたことを思い出すと、ドキドキして多野くんの顔がまともに見れない。どうしよう。
目も見れないし、もちろん話しかけられないし、きっと今私すっごい挙動不審だと思う。
すると多野くんが私の頭を軽く小突く。
この仕草になんどやられたことだろう。嬉しくなるけど、顔が赤くなったりはしない。だけど今日はとびきり心臓が跳ねる。
「文化祭、誰と回んの?」
そうだ、まだ多野くんは私たちと回ること知らないんだよね。
だけど自分から「多野くんも!」なんて言えるわけない。
どう答えようか迷っていると、タイミングよく美優が教室から出てきた。
「多野くん!多野くんも文化祭私たちと回るから!放課後6人で打ち合わせね!」
さっき私に多野くんの件を話した時と同じように、サラッと言って戻っていく美優。