青い記憶
デートの帰り、地元で裏路地にあるこじんまりとしたお洒落なカフェを見つけて入った。
「いらっしゃいませ〜」
笑顔で迎えてくれたのは、綺麗な栗色の長い髪を後ろで束ね、化粧は薄めだけど顔立ちのはっきりしたすっごく綺麗な女の人。
「お好きな席、どうぞ」
カウンターにいるその女の人は、コーヒーカップを拭きながらまたニコリと微笑んだ。
カウンター席が10席ほどと、4人がけの丸テーブルが4つカウンターに沿って並んでいる。
お客さんはカウンターに2人と、テーブル席が二組の3人連れのお客さんで2つうまっていた。
私と晴くんはカウンターの端っこに並んで座って、私はレモンティー、晴くんはストレートティーを頼んだ。
晴くんは頼む飲み物ですら大人だ。
「初めてのお客さんよね?カップル?」
女の人が笑顔で話しかけてくれる。
「はい」
私もつられて笑顔になる。話し方も表情も全てが可愛すぎてついつい見惚れていると
「可愛い彼女さんね、羨ましい」
店員さんが晴くんに言った。こんな綺麗な女の人に可愛いって言われるなんて、私なんか比べものにもならないのに、恥ずかしくてたまらない。
「全然、私なんて…」
「はい、こいつ、すっげー可愛いんですよ。すぐ照れるし」
なんて店員さんに言い出す晴くん。嬉しいけど今は恥ずかしくてたまらないよ。
「本当、今も照れてる、可愛いらしい〜」
2人して照れてる私を見て笑ってる。もう、からかわないでよ。恥ずかしくて顔を上げられない。