青い記憶

新しい1年の幕開け…



なんだけど…



「なんで森本くんが私の後ろなの?」



新学年の最初の席は、窓側の列の1番前から出席番号順のはず。私は清川だから、2列目の後ろから2番目。去年も私はこの辺だった。



だけど後ろにはなぜか森本くんがいる。マ行の人なんてもっと廊下側のはずでしょ。



「俺、廊下側から2列目の1番前だったんだけどさ、ここの席の女の子が目が悪くて前に行きたがってたんだよ。みんな新クラスだから遠慮しちゃってんのか知らないけど、誰もその子と席変わりたいって奴いなかったから、俺が変わってやったの」



新学年早々いいことしたわ〜なんて言ってる森本くん。森本くんが言ってた前の席を見ると、眼鏡をかけた静かそうな女の子が座ってた。



「ねぇ、本当にあの子が変わりたいって言ったの?森本くんが無理矢理言ったんじゃないの?」



「え〜清川、俺の信用ないな〜。まぁ半分当たりだけど。前の方が見やすくない?大丈夫?って超優しいスマイルで言ったらころっと変わってくれたよ」



そう言って例の自称"超優しいスマイル"を見せてくる森本くん。


あぁ、これは自分のイケメンさを利用したパターンね。やっぱり自覚あるチャラいイケメンは怖いわ。


さっきまで森本くんと美優なら大丈夫だよと思ってたけど、これはなかなか先が思いやられる。



大事な親友美優のために、ちゃんと監視しようと私は心に誓った。




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