青い記憶
多野くんと私は2人で渡り廊下に出て並んで座った。
「吉野って、あれが素なの?」
「あーあいつ、テンション高いとあんなんなんだよ。今日始業式だからテンション高いのかな?たぶんもうちょっとしたら普通っぽくなるよ」
そう言って苦笑いを浮かべる晴くん。そういえば前も『悪い奴じゃない』って言ってたもんね。鬱陶しいけど、確かにテンションが高いだけに見えなくもないし、平和な日々ももう少しで訪れるかな。
「それよりさ…」
急に俯く晴くん。
「どうしたの?」
「亜美、あいつに惚れてない?」
あいつって誰?
私が首を傾げると晴くんは安堵するようなため息をついた。
「蓮のこと。あいつまじでいい奴だから心配なんだ俺」
根岸くんね!本当に可愛い晴くん。
確かにいい人だとは思うけど、私は優しくて私のことを思ってくれる晴くんが好き。私には晴くんしか見えないし、ありえないよ。
「大丈夫だよ。私は晴くんしか見えないから」
私がにっこり微笑むと、晴くんの頬が緩む。
「やばい、今めっちゃギューってしたい」
そう言って足をバタバタさせる晴くん。